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ブッ飛びドクターの海外貧乏旅行記(8) アルプス二峰へ
空飛ぶドクター
【再びアルプスへ】 6月のスイス・アルプスのユングフラウでの大失敗にもめげず、再度8月18日から9 日間、今度は同じスイスのマッターホルンとフランスのモンブランへ行って来ました。 目的は前回と同じく、高山病の実地調査とあわよくば、患者の治療をしてみようとい うものです。もちろん、前回同様自分自身の観光を兼ねているので、失敗してもとも とです。看板は前回の失敗を教訓に、もう少し事細かに説明し、自分が日本から来 た医者であることが分かるようにしました。 今回の格安航空券は、乗継が便利な大韓航空で、ソウル経由ですが、チューリッヒ までは直行便です。久しぶりの大韓航空で、スチュワーデスの水色の制服も昔の記 憶とはずいぶん違います。機内は質素で、エコノミークラスには各自のディスプレー はありません。従って、音楽を聴くしかすることもなく、映画を見たりする誘惑がなく、 ひたすらよく眠れました。皮肉なことに、貧弱な設備のほうが時差ぼけ対策にはよさ そうです。機内食にまでビビンバが出るのにはビックリしました。回りの韓国人を見 ると、ひたすらご飯と野菜とチューブ入りの唐辛子をしつこいぐらいこねくり回してか ら食べるのが韓式のようです。 スイス・アルプスという先入観で前回と同じく、チューリッヒ空港から入国と決めてい ました。前回同様に、スイス・パスという鉄道のパスがあり、フレキシ・パスだと移動 する日だけのパスを選べ安くなり、しかも登山列車の半額割引もつきます。でも、気 が付くのが少し遅過ぎましたが、今回の目的地のツェルマットとシャモニ(フランス) に行くのなら、最近しょっちゅう利用しているイタリアのミラノの方が実は近いのでし た。実際、9月からミラノにAFSで高校留学している娘のホストファーザーからのメー ルでは、冬には近くのツェルマットやシャモニへスキーに毎年行くそうです。娘も連れ て行ってもらえそうです。羨ましい!アルプス山脈というのは、イタリア北部にもある のでした。どうも日本人の私としては、アルプスはスイスという先入観があります。モ ン・ブラン(Mont Blanc;白い山)はフランス語で、イタリア語ではモンテ・ビアンコ (Monte Bianco)と呼ばれるという事を今回知りましたが、実際にフランスとイタリア の両国にまたがっています。発音はかなり違っても、綴りではかなり両国の言語が 似ていることがわかると思います。 【温泉地、バーデンへ】 チューリッヒからは、最初の目的地、温泉地のバーデンへ行きました。チューリッヒ の郊外で、電車で30分程度です。ドイツのバーデンバーデンと紛らわしい名前です し、ホテルの予約で気が付きましたが、むしろオーストリアのバーデンの方が有名な のかもしれません。ドイツ語の Baden とは英語では Bath で、温泉地ではありふれ た名前のようです。でも、着いてみると駅前はものすごくにぎやかで、お祭のような 感じでした。 ここも、ドイツ語圏の温泉地でクアハウスがあり、お目当てのカジノがあります。いつ ものように、夜はブラックジャックで楽しんだのですが、翌日の昼間はまだテーブル 席のカジノは開いてなく、スロットマシーンの類だけで困りました。そこで、色々観察 しているとポーカーはルールがやや複雑そうですが、ルーレットのスロットマシーン があります。こんなもの、数字が当たるわけがないとは思ったのですが、器械にくせ があるのか、どうも意外と同じ数字がわりと頻回に出ているのに気づき、以前に出た 数字を選び、4つの数字にまたがって4〜5ヶ所賭けてみると意外なことに結構当た り、かけ金が倍増しました。ビギナーズラックでしょう。 ![]() ![]() ![]() 川の傍にある共同温泉へは翌朝行きました。しかし、だいぶヨーロッパの温泉に慣 れたせいか、ここバーデンの温泉はあまり感動はありませんでした。悪くはありませ んが平凡でした。同じスイスの温泉でも前回のロイカーバートの方は、ゲンミ峠の麓 で絶景でしたが、ここはせっかく川沿いなのに屋外温泉プールからも木に囲まれて 川が見えません。外から覗けないようにした日本の温泉のようです。型の如く、打た せ湯や泡風呂はありますが平凡です。サウナもありますが、ヨーロッパの温泉で 時々見られるように別料金でした。前夜に行ったホテルの温泉も値段なりの温泉で した。全部室内でした。個人的には、開放的な屋外もあったほうが好きです。サウ ナ、ミストサウナ込みですが、ユーロ高のせいかやや値段が高く感じます。3年前は 1ユーロ120円程度だったのが、今は160円近くします。予約が必要なようです が、アーユルベーダのマッサージの部屋までありました。でも、自分が一人のせい かもしれませんが、ほとんど他のお客がいないのも閑散として寂しいものです。 【マッターホルンの見えるツェルマットへ】 カジノを昼過ぎに出て、最初の目的地ツェルマットへ向かいました。2回ほど乗り換 えして夕方には着きました。スイスでもアルプスの山に行くには、どうしても乗換えが 多くなります。前もって日本でインターネットで調べて印刷していたのですが、それが ないとどこで乗り換えていいのかわかりません。但し、駅の切符売り場でも印刷して もらえるようです。ここはインターラーケンと違い、街からきれいにマッターホルンのと んがり山が見えます。ツェルマットは標高1600Mの小さな町ですが、インターラー ケンと同じく日本人観光客が相当います。電気自動車以外は禁止された静かな町 です。 翌朝はいよいよマッターホルンが目の前に見れるゴルナーグラート展望台です。登 山列車ですが、標高500Mから出発のインターラーケンと違い、標高1600Mのツ ェルマットからはわずか1時間弱で標高3100Mの展望台に着きます。ところが、天 気に恵まれず目の前にあるはずのモンテ・ローザやマッターホルン等の山々は何も 見えません。しかも、ここは標高が相対的に低くそんなに寒くないせいか屋外の展 望台です。標高がそんなに高くないせいか、一緒の列車の多くの日本人も一人も高 山病の人はいなさそうです。しかも、雨まで降り出しそうな天気です。とても、看板を 立てて患者を待つような雰囲気ではありません。あっさり見切りをつけ下山しまし た。まだ昼過ぎで時間があるので、観光客は少ないかもしれないけれど標高は388 0M程あるもう一つのクライン・マッターホルンへロープウェイで上ることにしました。 もちろん、こちらの方が標高が高いので高山病の患者がいるかもしれないと考えた からです。 ![]() ![]() ![]() ゴルナーグラート展望台から下山して、狭い街を10分も歩くとクライン・マッターホル ンへのロープウェイ乗り場に着きます。結局、2回ロープウェイを乗り換えて終点の 駅に着きます。少しトンネルを歩いてようやく展望台ですが、ここは非常に狭いので す。しかも、観光客が少ないはずで、団体客用のゴルナーグラート展望台と違い、ほ とんど人がいるようなスペースはなく、眼下には夏スキー客が滑っているのが見えま す。こんなところですから、もちろん日本人の観光客は見当たりません。またしても 失敗です。スキーには最適の場所のようですが、今回の私の目的からははずれて います。今回も自分が高山病にならないようにダイアモックスを予防的に内服してい ますが、少し多尿による頻尿の副作用を今回は自覚しました。 居場所もなく、狭い山小屋の喫茶室でコーヒーとソーセージの軽食をとり、あきらめ て下山しました。相変わらず、天気も雨模様でスッキリしません。冴えない一日で す。夕方、食事のためにホテルを出ると、不思議なことにこんなに天気が悪いのに、 何故か今頃になってマッターホルンが夕闇に迫られながらもくっきりと見えるので す。 【予定変更、すぐにシャモニへ】 ほとんど、ここツェルマットはあきらめていましたが、翌朝晴れれば、高山病の治療 はともかくもう一度ゴルナークラート展望台へ上って、マッターホルンを目の前で見よ うと思いました。しかし、翌朝も雨であっさり見切りをつけ、予定を一日繰り上げて 早々とシャモニへ移動することにしました。またしても、3回ほど乗り換えて昼過ぎに はシャモニへ着きました。途中で、2ヶ月前に通った駅を通過し、ロイカーバートの温 泉へ行った時に降りたロイクの駅も通過し、非常に懐かしく感じました。 シャモニは国境とは言え、厳密にはスイスではなくフランスです。でも、例の如く国境 でのパスポートのチェックもなく、電車もスイス・パスがそのまま使えるのでうっかり すると国が変わったことに気が付きません。通貨も、スイス・フランからユーロになる のですが、国境では結構お金もどっちでも使えたりします。最近のヨーロッパはとみ に国境を感じなくなりました。でも、数日過ごすうちに、やはりここシャモニはフランス だなぁと感じました。それは食事です。やはり、ドイツ語圏のスイス(インターラーケン やツェルマット)に比べると、はるかにシャモニはおいしいのです。 一日予定を繰り上げたので、この日はホテルを予約していません。でも、心配しなく てもいくらでも安いホテルがありました。夕方食事を済ませ、またここでも見つけたカ ジノへ行きます。バーデンのカジノでスロットマシーンとはいえルーレットで勝ったの で、思い切って本物のルーレットへ初めて挑戦しました。前回と同じ要領で賭けてみ ました。何と、簡単に勝ってしまいました。100ユーロ( 1.6 万円 )が倍になったとこ ろでやめました。 【展望台へ】 翌朝は、もちろん目的地の Aiguille du Midi(エギィーユ・デュ・ミディ)の展望台へロ ープウェイで登ります。この舌を噛みそうな名前で、日本語表記も色々の「正午の針 峰」はもちろんフランス語です。ここは麓のシャモニの町からも見えます。厳密なモン ブラン山は町からは見えませんが、雪に覆われた周りの山々は麓からも見えます。 ここはゴルナーグラート展望台より標高も高く(3840M)、高山病の患者もいそうで 期待できそうです。ただ、ユングフラウと違って、待合室というかみんなが待機してい る場所が分散しています。一番よさそうなカフェテリアで看板を立て、患者を待つこと にしました。しかし、ユングフラウと違って何故かあまり日本人はいません。数箇所 あるモンブランが目の前に見れる屋外の展望台では多くの日本人団体客はいるの ですが、カフェテリアでは時々日本人を見かける程度です。ある日本人女性が「さ ぁ、モンブランのケーキを食べなくちゃ。」と言っていましたが、なるほど日本人には ケーキで有名なようです。どうも、ここモンブランはユングフラウ以上に日本人団体 客の滞在時間は短いようです。そう言えば、インターラーケン、ツェルマットの町と違 い、シャモニの町では余り日本人を見かけませんでした。色々聞いていると、ジュネ ーブに滞在してバスで来るようです。またしても、失敗で患者はいません。標高から して患者は少しはいると推定するのですが、どこにいるのか分からないのです。 ![]() ![]() ![]() 昼食は、ここのレストランで食べましたが、さすがにフランスでかなりの味のコース料 理でした。ここで、上品なアメリカ人女性に珍しく向こうから声をかけられ、色々話し をしましたが、食べ物の話しをしていたら、シャモニの4つ星ホテルのレストランがお いしいと教えてくれました。先程のカフェテリアに戻って4時過ぎまで粘りましたが、 一組の日本人親子と話をしただけで病人は見当たりませんでした。どうもここも厳し そうです。 5時過ぎに日本から予約しているホテルへ行きました。信じられません。詐欺みたい な話です。3連泊で一日2万円もするホテルに予約したはずなのに、何と名前通りロ ッジなのです。それはともかく、ベッドもなし。ソファベッドが二つで、もらった白いシー ツで自分でベッドメークです。しかも、枕もないし、上布団もないのです。もちろん、テ レビもなければ朝食も付かない。揚句のはてには、部屋の中にはゴミは自分で片付 けないと、掃除料を要求すると書いています。一泊2万円の部屋なのにです!私は 今まで色々な安いホテルに泊まった経験がありますが、一泊千円の部屋でもこんな ひどい所はありませんでした。しかも、前もってインターネットで予約してあるし全くキ ャンセルもできません。最悪です。 頭に来て、昨日のカジノへ行きました。もう一度、ルーレットをやったら案の定今回は すぐに負けました。むしろ、ホッとしました。そんなに簡単に勝てるはずはないと自分 でも思っていました。そこで、いつものブラックジャックもしました。ゲームの性格上、 21までの数字をディーラーが読んで(計算して)くれることが多いのですが、さすが 国境の町です。フランス語、ドイツ語、イタリア語、英語が飛び交います。私は21程 度まではどの国の言葉でもだいたいわかるので面白いです。ディーラーがすごいの は瞬時に判断して客の言語で使い分けることです。 egalite と言うテニスでジュース の意味のフランス語の単語が even(引き分け)という意味で使われるということも自 然に覚えました。ブラックジャックではトントンで結局今日は負けでした。ホテルとい いこの日は最悪でした。でも、さすがに夕食だけはフランスだけあっておいしかった です。 翌日も、あきらめずにエギィーユ・デュ・ミディの展望台へ登りました。でも、前日以上 に閑散としています。ほとんど室内では日本人は見かけません。一人の10代の白 人の女の子が目の前で派手に吐きましたが。たぶん、高山病だろうとは思います。 屋外の展望台には日本人の団体はいるのですが患者は見当たりません。やはり失 敗のようです。軽い昼食をとって下山しました。 ![]() ![]() ![]() 時間があるので、治療はあきらめ自分自身の観光に切り替え、向かい側の山で正 面からモンブランが見れそうな標高2500M程度のブレヴァンへロープウェイで登り ました。期待通り真正面にモンブラン等の山々が見えますが、少し雲がかかってい ました。今は夏で動いていませんでしたが、スキー用のリフトがありました。そう言え ば、私の大学の後輩がシャモニ、シャモニと騒いでいましたが、彼はモンブランよりこ のスキー場のことを言っていたようです。 【高級フランス料理店へ】 この日は、まだ時間があるので、赤い登山列車に乗ってメール・ド・グラス氷河に行 けるモンタンヴェールへも行きました。そして、夕食は昨日のアメリカ女性お薦めの4 つ星レストランのフランス料理店を予約しています。私は高級レストランへはあまり 行ったことがありません。1万円弱のコース料理を注文しましたが、さすがに見た目 も上品でおいしい凝った料理が順に出てきました。ただ、日本の高級フランス料理店 ではたぶんないと思うのですが、犬を連れた客や小さい子供連れも結構いました。 気取った感じは全くありません。そして、これも日本のレストランではないのですが、 デザートの前に高級チーズの4品盛り合わせが選べます。わからないので、ウェー トレスに任せましたが、どうも口に合いません。たぶん、私だけでなく日本人にはま だまだ高級チーズの味はわからず、日本のレストランでは高級チーズ盛り合わせが コースに入っていることは少ないと思います。 結局ここのモンブランの展望台も二日間通いましたが、やはり患者を見つけるのは 無理なようであきらめました。やはり一日繰り上げてチューリッヒへ戻る途中でどこ かに寄ることにしました。地図で見ると首都のベルンが丁度よさそうでした。ただ、そ うするとロッジ・ホテルも2日で切り上げ、3日分6万円も払っています。悔しいけど、 寝心地も悪いし、2晩が限界のひどい部屋です。納得はいかないけど、どうしようも ありません。詐欺にあったような気分です。 【ベルンへ】 ![]() ![]() ![]() 翌朝は、昨日行ったブレヴァンへ行き、朝食をとりました。ちょっとシャレてモンブラン を見ながらの朝食です。今朝は晴れていて、きれいにモンブラン等の山々が目の前 に見えます。そして、ベルンへ向かったのです。途中で、シアトル在住の日本人女性 と金沢から来ているそのおばあちゃんと知り合い、日本に20年住んでいるというア メリカ人とも知り合いました。ローザンヌからベルンまで普通ならスムーズに直行で 行けるはずなのに、一部不通らしくダイヤが混乱していて、列車がひどい混雑でスイ スにしてはひどい目に会いました。でも、何とか4時過ぎには着きました。 ホテルで一息ついて歩いてベルンの町を探索しました。スイスらしく逆Cの字型のア ーレ川を中心にきれいな町並みです。石造りのアーケードには名物の色々な噴水 (水飲み場)があります。14世紀からの遺産のようです。多種類のバラが鑑賞でき るバラ園は少し小高く、そこからはアーレ川を含む絶景が見えます。でも、逆光でい い写真は撮れません。それから、地図に書いてある橋の近くのカジノへ出かけまし た。ところが、どうも様子が変です。カジノにしては立派なレストランはあるのです が、肝心のカジノがわかりません。店員らしい男性に聞くと、何とカジノという名前の 高級レストランらしいのです。また、詐欺か!でも、よく聞くと、幸い近くにクアザール という高級カジノホテルがあるということでした。 【チューリッヒへ】 最後の朝は、さっさとチューリッヒへ移動し、久しぶりにチューリッヒの町を探索しまし た。夜の便なのでだいぶ時間があります。駅に荷物を預け身軽になったところで、電 車へ乗りすぐ近くのチューリッヒ湖へ行きました。眺めの良さそうな観覧車に乗り、そ れから湖のクルージングとしゃれこみました。さすがに、スイスの街はどこも美しいで す。山はもちろんのこと、都会でも湖や川がありきれいな町並みです。日本人に人気 のある理由でしょう。 ![]() ![]() ![]() こうして、今回の旅も終わりました。高山病の患者の治療という意味では今回も失敗 ですが、アルプス三大名峰を2回で訪問して色々な事がわかりました。これから、ア ルプスへ行く人へのアドバイスです。展望台の標高通り、マッターホルンはほとんど 高山病の心配はなさそうです。しかし、ユングフラウとモンブランはやはり高山病に かかる恐れはありますし、一旦発病すると、頑固な頭痛と嘔気、嘔吐でかなり苦しみ ます。少しでも不安な人は、やはりダイアモックスを準備していった方がいいというの が私の結論です。そして間近に見る山の景色は最高です。「あぁ、生きててよかっ た!」と感嘆の声を上げてる人もいたくらいです。
ブッ飛びドクターの海外貧乏旅行記(9)南イタリア |